身体能力が高く体も柔らかい猫でも骨折することはあります。
そんなときに飼い主はどう対処したら良いのでしょうか?
猫は言葉を話せませんし、痛くても我慢しますから自分から「骨折した」と訴えることはありません。
また、小さな骨折の場合は当の猫にも自覚症状がなく痛みを感じないこともありますから、飼い主さんが日ごろから愛猫の状態を観察して異変に気づいてあげる必要があります。
いざというときに迅速に対処できるように、猫の骨折とはどんな状態なのか、応急処置などの対処法と治療法について解説します。

骨折の症状や対処法を知っていると、もしもの時に慌てずに対応できるニャ!
猫の骨折の症状と種類
骨折の症状
猫が骨折した場合に以下のような変化が見られます。
- じっとしていて動かない
- 体に触るといつもよりも嫌がる、痛がる
- 片足を引きずり、浮かせるようにして歩く
- 腫れている箇所がある
- 食欲がない
- 食欲はあるが口を動かすと痛そうにしていて食事ができない
- トイレのあとに砂をかけない
- 高いところに上ろうとしない
猫が最も骨折しやすい箇所は、脚と言われています。
歩き方がおかしかったり、痛がっている素振りを見せている時は、念のため動物病院で検査してもらいましょう。
また、尻尾やあごを骨折することも多いので、食事の様子なども日頃から観察しておくといいですね。
骨折の種類
骨折にはさまざまな種類がありますが、主なものとしては次のようなものがあります。
- 疲労骨折
- 骨に繰り返し弱い負荷がかかることで起きる
- 亀裂骨折
- 骨にヒビが入る
- 剥離骨折
- 骨を取り巻く筋肉や靭帯が強い力によって引っ張られることで起きる
- 圧迫骨折
- 強い力で骨が押しつぶされることで起きる
- 開放骨折
- 折れてしまった骨が外に飛び出す
- 成長板骨折
- 子猫が成長期に発症する

普段から猫ちゃんの様子をしっかり観察していれば、骨折にも早く気づいてあげることができるニャ☆
骨折の原因
室外の場合
猫が骨折する原因は、高いところからの転落と事故がほとんどです。
強靭な脚を持つ猫ですがたまには着地に失敗することもあります。
とはいえ、猫の反射神経が優れていて後ろ向きに落下しても向き直ることができるため、2階程度の高さから落ちても骨折することは稀です。
高所からの落下で骨折の危険が高くなるのは3階以上の高さです。
脚だけではなく転落の衝撃で頬や顎を打ちつけて顔の骨が折れてしまうこともあります。
室内飼いであれば脱走されない限りはこのような高さから落ちることは考えにくいですが、外に出している猫の場合は高所からの転落で脚の骨を折ってしまうことがたまにあります。
ほかにも、交通事故や猫同士の喧嘩も占める原因です。
室内の場合
室内でも骨折のリスクが全くないわけではありません。
人間が誤って猫の足を踏んでしまったり、気づかずに扉を閉めて足や体を挟んでしまったり、一緒に寝ているときに気づかずに猫の体にのしかかって骨折させてしまったり‥。
ちょっとしたことですが、安全そうな室内でも骨折する可能性はあります。
また、体が出来上がっていない子猫の場合は、家具の上程度の高さから落ちても骨折することがあります。
体が小さいうちは家の中でも目を離さないようにしましょう。

骨折は高所からの転落だけが原因じゃないニャ!
室内飼いの猫ちゃんも危険はあるから注意!!
骨折したときの応急処置のやり方
猫が骨折した、骨折したかもしれないと感じた場合は出来るだけ早く対処する必要があります。
猫には自然治癒力があるため、軽い骨折であれば治療しなくても自然に治ります。
しかし、放置することで治りが悪くなったり、骨が曲がってくっついたりすることもあり、再び骨折してしまうかもしれません。
また肋骨が折れている場合は、動き回るうちに折れた骨が内臓を傷つけてしまうかもしれません。
骨折してから数日間にどんな治療を行ったかによって、その後の治癒に大きく影響すると言われています。
とにかく最初の対処が肝心なのです。
簡単な応急処置を行ったら出来るだけ早く動物病院に連れて行きましょう。
応急処置の方法は、板やボール紙などに布や綿を巻いた簡素な副木を使って、骨折部から最も近い関節に当ててきつくなりすぎないようにテープなどで固定します。
これを「副木固定」と言います。
脚の骨折の場合は、身近にある割り箸などを添え木の材料として使用するといいでしょう。

もし、猫ちゃんが応急処置を嫌がった時は、無理にやらなくても大丈夫ニャ!
なるべく安静にさせて早急に動物病院へ!
骨折の治療法
骨折の治療の基本は患部の固定です。
まずは、骨折の正確な状態を把握するために多くの動物病院ではX線撮影を行います。
正確な骨折の状況が分かったら、猫の年齢や体調などを考えながら獣医さんと相談のうえでどのような治療を行うのか決めていきましょう。
猫の骨折の主な治療法としては以下のようなものがあります。
プレート法
骨折した箇所を開いて、金属板(プレート)を直接骨に当てて、ネジで止める治療法です。
骨を精密に元の形に戻して固定することができること、
手術した翌日には歩行ができること、
プレートを内部に埋め込むため痛々しく見えないというメリットがあります。
一方で、患部を切開する必要があるため身体に負担がかかる、
骨折部にダメージを与えてしまうため、骨折を直すための新生骨が作られにくく治りが遅くなる、
それによって再骨折することがある、
プレートが折れたり外れたり、ネジが外れたりすることがあるといったデメリットもあります。
創外固定法
ネジがついた金属製のピンで皮膚の外側から骨を固定する治療法です。
骨折の治癒には新生骨と呼ばれる仮骨が重要な役割を果たしています。
筋肉と骨の間にある骨膜に血液が行き届くことで仮骨が作られ、これが骨となることで治りを早めてくれます。
創外固定法は仮骨がしっかりと作られるのが特徴です。
大きな切開も必要ないため身体に負担がかからず、仮骨が早く作られて骨折の治りも早くなるのがメリットです。
その一方で、皮膚から金属ピンが露出しているため見た目が悪いこと、
緩まない金属ピンを入れるためには高い技術が必要であることがデメリットです。
髄内ピン法
骨髄部に金属ピンを通すことで骨折部を支える治療法です。
骨折部を切開してピンを通す方法と、骨折部の切開を行わずに他の部位からピンを差し込む方法があります。
骨折部を切開せずにピンを通すことが可能であれば、手術が早く終わり治りも早いのがメリットです。
骨折部の固定という意味では、強度が弱いためギプスを使う必要があるのがデメリットです。
副子固定法
骨折部をギプスで固定する治療法です。
切開をすることなく治せるため身体に負担がかからず、しっかりと固定するため再骨折のリスクも少なく、早く治るのがメリットです。
形も少しずつ原型に戻っていきます。
デメリットとしては、骨折部を完全に元通りにはできないこと、
ギプスの固定状態を保つのが大変で良いギプスと技術が必要なことです。
しっかりと固定するため外飼いの猫や活発な猫には不向きで、この方法で治療できるのは生後1歳未満の猫に限られています。
まとめ
身体能力が高い猫でも骨折することがあります。
猫は人間とは違って言葉を話せませんし、痛くても我慢しますから飼い主さんが気づいてあげることが大切ですね。
日頃から猫の様子を観察して、早く異常に気付いてあげるよう心がけましょう。

のらくろ

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